《私の本棚 第353》 令和7年8月3日 号 「夏 の 庭 - The Friends -」 湯本 香樹実 作 タイトルと作者名の表記方法は、いつもとは少し変えてあります |
小中高生の皆さんは夏休みに入って2週間ほどになりますね。私は自分の心が落ち着いてから10日ほどになります。それについては最後に余談として付記します。 7月になると書店に、Take Freeの貼り紙下に 「新潮文庫の100冊」 という冊子が置かれます。私はこれを戴いて帰って何となく眺めるのが好きです。時には触発されて購入することもあります。ただ、読書感想としてはピッタリ感が持てない書籍もありますから、必ずしもご紹介できるとは限りません。今年はこの 「夏の庭」 と 「きみの友だち」 の2冊を購入し、夏の庭から読み始めました。 全体の5分の1程読んだでしょうか、何だか 「買わない方が良かったかな?」 と思いながらページを繰っていました。しかしそこからは次第に引き込まれていきます。登場するのは小学六年生の 「ぼくと山下・木山・河辺・杉田・松下」・ひとり暮らしのおじいさん・種店のおばあさん、同学年女子の田島と酒井と訳ありの古香弥生おばあさん、それに元気な先生と美人の近藤先生も一寸だけ。 変な話しですが、あまり内容には詳しく触れない方が良いだろうと思うのです。でも或る意味では、この本を読む皆さんには大変良い作品だと思います。子ども達は初めのうち、一人暮らしのお爺さんを、興味に引き寄せられて塀から覗いていました。通りがかった人から見ても変な行動だったろうと思います。若しも見た目がヤンチャぼうずだったら、誰か大人から声掛けされるか警察に通報されたかも知れませんね。 お爺さんの家はゴミ屋敷とまではならなくても、片付けはしていないし窓は閉め切り。起きている様子は感じないし、たまに買物に出かける時は汚げな格好でコンビニへ行く程度。それを見知った子ども達は、だんだん膨らんでくる好奇心から塾もクラブ活動もそっちのけ。次第に好奇心よりも心配の気持ちが大きくなり、見張りを続けます。子供らしい知識ですが、段々深く考えながら成長します。お爺さんも最初は怒りながら話していましたが、子ども達の気持ちを察して変わりました。 ① お爺さんちの庭の草取りをする。自分達が小遣いを出し合ってコスモスの種をまき、ホースで水まきをする。 ② おじいさんの戦争体験談を聞く。 戦争 戦争 戦争 戦争 戦争 戦争 戦争 その他 略 ③ おじいさんと種店のおばあさんの会話。 ④ 四日ほど顔を会わせなかったおじいさんとの再会は、穏やかな死に顔だった。 ここに表現されている子ども達とおじいさんの出会い。短いけれど心のふれ合う素敵な交流。悔いなく穏やかに逝かれたおじいさんと優しい子ども達の行動。こんな事は、人生で滅多に経験することは無いでしょう。でもこの作品を読む皆さんは 「絶対あり得ない」 なんて思わずに、こんなことも有るかもと思って下さいね。 私はこのおじいさんが子ども達と出会う迄の心の健康状態と日常。ふれ合うようになってから驚く程元気になった変化。そして静かな別れは、素晴らしい人生の終焉だと感じました。 私はどうしてこんな作品が書けたのだろうと不思議でした。でもそれは作者のあとがきを読んで納得。本当に良い作品です。私のサイトを訪れて下さった人、この本を購入して読んだ人、とっても良い思い出の 「ご縁」 になりますね。 【付記】 私は毎月一冊の読書感想を書こうと思っています。しかし7月は自分の苦しい時間が多くその気になれませんでした。 6月11日(水)朝の出来事が始まりでした。デスクトップパソコンを開いていると再起動を促すメッセージが出たので実行。しかしいくら待っても立ち上がりません。運悪く修理店は休業日、夜は眠ることもままなりませんでした。修理完了後もPCはスッキリしない動きをすることがあります。デスクトップは8年使用でこの先いつまで動くか明瞭ではありません。ノートPCも有りますが購入後5年経過。デスクトップのデータをいくつかは写し取ってありますが完全では無いのです。このデスクトップPCは、私の一番大切な思い出溢れる箱。ホームページのデータは膨大。読んだ本の思い出、ロードレーサーで走った景色や出会った人々の記憶、車旅で訪れた過去の記録、デジカメで撮った写真数千枚。特に大切な自作Excel SoftのロックPWは、アルファベットの大文字小文字・数字・記号を使って12桁。HD内のデータを全て印刷すると、自宅で生活するスペースは無くなるでしょう。過去30年余りの私の人生全てと言っても過言ではありません。このHP、Index頁の不具合(お詫び言葉)は、今後の万一に備えるつもりが裏腹の結果になったものでした。余計な事をしたばかりに、こんなことに為ってしまったとの思い。本当に辛く、自分の心から多くのものが消えていくような喪失感。明日からはどんな風に日々を過ごせば良いのか?という、どんよりとした曇り空と霧に包まれていました。しかしやっとの事で7/20頃には何とか修正完了。気持ちが少し落ち着きました。この先同じような事が起きた場合に備えて、詳細な手引き書を作成しました。最後にはこんな注意書を添えて....。 『この説明を読んでも分らなくなった時はPC操作を断念すべき時』 寂しいけれど自分に対するいたわりの心を込めた言葉です。 その何日か後 「夏の庭」 を読み始めました。しかし不思議だったのが7月29日読了で、それなら8月3日号で 「夏の庭」 を公開しようと思った事。8月3日は私の喜寿誕生日です。更に 「第353」 は視線を変えれば8月3日に重なります。又、令和3年4月以降二つの病院で60日分と35日分の薬処方を受けていますが、そのいずれもが8月3日で薬が無くなるので再処方をもらいました。書きませんが、まだ他にもあります。 初めて明かしますが私の名前は和 美です。遠い過去の卒業式ではいつも 「かずみ」 と呼ばれていました。作者もおなじ 「かずみ」 様。そして何よりも、6/11のPC不具合から、7/20頃まで続いた私 (お爺ちゃん) の心の嵐と空もようが、7/29の読了をもって晴れたことです。こんな形の「ご縁」も有るんだなぁ! というのが強い思いです。経緯は異なりますが、私 (お爺ちゃん) は夏の庭の登場人物達によって救われたような感覚です。 おじいさんは、何等かの原因で意気喪失。子ども達と出会って気力を取り戻した。そして 「自分の人生を生き尽くした」 ように静かに逝かれた。私 (お爺ちゃん) は未だやりたいことがありますが、気力が一気に落ち込むのは、何でも無いような事が原因に成り得る事を、この歳になって初めて経験しました。 このサイトを訪れて下さった皆さんも、ご縁 という言葉を聞かれた事があると思います。 懸命に生きていると、いつかそんなご縁に触れる 事がでてくると思います。 皆さん方の末永く幸せな人生を心からお祈り致します。 |
![]() 唐古鍵遺跡 のコスモス コスモスの花言葉 「調和」 「謙虚」 「乙女の真心」 「愛情」 「優美」 |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() このサイトをUPする最後の準備をしていた7月31日に、思いがけず二人の孫から素敵なカードをもらいました。冗談で 「こんなのをもらうと白寿まで生きられるかも」 と言いました。すると、白寿って何歳のこと?と尋ねて計算をします。僕34歳!、私は37歳!と言って少し思案顔?。その年齢の自分を想像するのも冗談で返すのも未だすこし無理のようでしたが、姉は私と同じ様に花言葉が書き添えてあり成長が感じられました。 私(お爺ちゃん)は、このサイト準備のタイミングで、夏の庭のおじいさんはこんな晴れた気持ちだったかな?とも思います。命ある間は誰にも迷惑をかけないように気をつけたいと思います。 ![]() ![]() |
前の頁、聊斎志異より閻羅薨 次の頁、 Vol.Ⅲ.目次へ Vol.Ⅲ.トップ頁 Vol.Ⅱ トップ頁 Vol.Ⅰ トップ頁 |